AI×HRTEM による高速結晶相解析技術を顕微鏡学会で発表しました

顕微鏡学会・学術講演会にて、AI-HRTEM画像解析における高速特徴抽出技術(FFT-based Feature Extraction) に関する研究成果を発表しました。
本研究は、HRTEM画像に含まれる回折情報をAI解析に適した特徴量として高速・自動抽出するための新しい手法を示したものです。

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■ 研究の背景
HRTEM画像には、材料内部の結晶構造を反映した電子線回折パターンが含まれています。
しかし従来は、イメージ/回折モードの切り替え回折スポットの読み取り手動での領域分割・構造解析といった作業が必要で、解析には多大な専門性と時間がかかる点が課題でした。

■ 提案した解析手法
本研究では、HRTEM画像全体に対して次の処理を自動実行するフローを提案しました。
① デジタルパッチによる画像走査画像全体を小領域(パッチ)に分割し、局所構造を詳細に解析。
② 高速フーリエ変換(FFT)による特徴抽出各パッチに対して FFT を適用し、回折スポットの強度面間隔角度情報を自動抽出(ポスター図 Fig.2, Fig.4)。これらは AI が理解できる特徴量として利用します。
③ AIによる特徴解析パッチ単位の特徴から構造分類を行い、局所領域の構造差を可視化。
④ ピクセル単位での領域分割微細構造を高解像度でマッピング(Fig.3)。従来の手動処理を完全に代替できるレベルの精度を実現。

■ 得られた成果
この手法により、従来は手動で膨大な時間を要した HRTEM解析において、以下の成果が得られました。
HRTEM解析の自動化を実現回折情報をピクセル単位で可視化微細構造・結晶相の高速マッピングが可能に材料の充放電反応の理解を定量的に進められる解析結果を材料データベースとして自動蓄積

■ 今後の展開
抽出した特徴量と実験条件をディープラーニング(ViT など)に学習させ、「理想的な微細構造」と「作製条件」の因果関係を明らかにすることを目指した研究へ発展させる計画です。
これにより、材料研究を 画像解析中心のアプローチから“データ駆動型材料設計”へ 発展させることが期待されます。