高分解能構造体画像に対するマルチビジョンAI検査システムの構築と実運用

― 不良見逃しゼロを目指す特徴空間設計型AI検査 ―
製造業における最終外観検査では、微細欠陥の確実な検出と、過検出の抑制という相反する課題が存在します。特に電子顕微鏡や高解像度光学カメラによる構造体画像では、わずかな異常を見逃さず、かつ良品内のばらつきを誤検出しない高度な判定技術が求められます。
MirumeAIでは、こうした高分解能画像に対応したマルチビジョンAI検査システムを構築し、実運用環境において高精度かつ高速な判定を実現しました。
システム全体構成
本システムは、
- 撮像
- 前処理
- AI判定
- データベース連携
からなる一連の構成を採用しています。
電子顕微鏡や光学カメラから取得した画像を約25mm単位で分割し、
各領域をMiniPCに搭載された軽量AIモデルで個別推論します。
推論結果はエッジ側で一次判定された後、サーバー経由で中央RDBへ集約され、
モデル改良やトレンド分析に活用されます。

電子顕微鏡や光学カメラから取得した画像を約25mm単位で分割し、各領域をMiniPCに搭載された軽量AIモデルで個別推論します。推論結果はエッジ側で一次判定された後、サーバー経由で中央RDBへ集約され、モデル改良やトレンド分析に活用されます。
学習環境には、Intel Xeon w5-2465X(16コア)、64GBメモリ、RTX 6000 Ada GPUを搭載したMirumeAIサーバーを用いています。
この分散アーキテクチャにより、
- 高解像度対応
- 並列処理によるスループット向上
- モデルの継続的改善
を同時に実現しています。
欠陥判定アルゴリズム
本システムの中核は、単純な閾値判定ではなく、
特徴空間に基づく異常判定設計にあります。
使用する基本アルゴリズムには、ー良品学習型モデル「PaDiM」ーを採用
画像分割後、各パッチ領域において異常スコアを算出し、
さらにt-SNEを用いて特徴空間上の分布を可視化・クラスタリングします。
これにより、
- 良品変動による偽陽性(false positive)を抑制
- 異物、異常形成、微細割れなど真の不良のみを高精度抽出
することが可能となります。
検出結果は欠陥種別や発生領域をマスク化し、ヒートマップとして可視化されます。
これにより、AI判定と検査員の目視確認を融合させた実運用設計となっています。

実運用性能
本システムは、まず「すべての欠陥を抽出」し、その中から真の不良を判定する設計思想を採用しています。
多くの汎用ソフトウェアでは微小欠陥検出時に過検出割合が極端に高くなりますが、
本手法では特徴空間における分布距離をリアルタイム算出することで、
過検出率10%未満を達成しています。
さらに、
- 約20µmの微細欠陥検出
- 256×256画素中1〜2画素レベルの欠陥識別
- φ8インチサイズ:約32秒処理
- 25mm□単位:約0.62秒処理
を実現しており、実検査工程に適用可能なスループットを確保しています。
今後は、1/256画素で95%以上の判定精度を目指し、
さらなる高精度化を進めていきます。

まとめ
MirumeAIのマルチビジョンAI検査システムは、
- 良品学習型異常検知
- 特徴空間クラスタリングによる偽陽性抑制
- エッジ×サーバー分散アーキテクチャ
- 実運用レベルの高速処理性能
を統合した、高分解能構造体向けAI検査基盤です。
熟練者依存の検査工程を客観化し、大規模かつ高精度な品質保証体制の構築を支援します

